家をつくるために必要な『図面』には、大きく分けて2種類あります。
ひとつは、全体の基本となる『基本設計図』、
もうひとつは、見積をするための細かい『実施設計図』です。
実施設計図も大事だけど、それよりもっと重要なのが基本設計図だと思っています。

基本設計図では、
・配置図(敷地のどこに建物を建てるか)
・仕上表(どこにどんな材料を使うか)
・平面図(間取り)
・立面図(いろんな方向から見た外観) などの図面をかきます。
これを基に、家づくりが進んでいくので、施主さんとじっくり話し合いながら
基本設計をつめます。
施主さんには、図面を見ながら実際の暮らしを想像してほしいです。
朝起きてから、寝るまで。
春、夏、秋、冬。
現在、5年後、10年後、もっと先の自分たちの暮らし。
いろんなパターンを想像して、『なんか違うなー』
『ここはこうしたい』と思った部分は、どんどん言ってもらいたいと思っています。

設計者は、施主さんに図面を見せる前に、いろんなことを考えながら設計します。
法律的なことはもちろん、打合せしながら感じた、施主さんの暮らし方や、
性格、家族のこと、周囲の状況など、総合的に考えて、
いちばんいいと思ったものを提案します。

そういう結果、出来上がった基本設計を施主さんと見ながら、
施主さん『ここはこういうふうにしたいです』
設計者『でも、そうすると○○が××になってしまうので、こうしてあります』
施主さん『そうなんですか。でも、なんとかなりませんか??』
設計者『○○が××でもよければできますけど、あまりおすすめはできません。
それでしたら、□□みたいな感じはいかがですか?』
施主さん『あー、それならいいですね!』
設計者『じゃあ、ここはそれでいきましょう』
みたいなやりとりをしていくことで、よりよいものができると思います。
図面と真剣に向き合いながら、
思ったことを一生懸命に伝えてくれる施主さんは大好きです。

基本設計を曖昧にしたまま、実施設計を始めてしまうと、後になってから、
あっちもこっちも変更…ということになりかねません。
そうすると、基本設計の意味はなかったものと同じになります。

基本設計の段階で、施主さんと設計者、お互いの考えをよく伝えあっておくこと、
わからない部分や、納得できないことは何度でも聞くことが大事だと思っています。
施主さんとじっくり話し合って基本設計をまとめると、
結果、いいおうちができる気がします。