私が設計の仕事を始めたのは、5年ほど前からです。
それまでも建築関係の仕事をしていましたが、施工者側だったので、『施工者から見る建築』しか知りませんでした。
もちろん、施主や設計事務所の方々とは関わってきたので、その方々がどんな立場かということはわかっていたつもりでした。
設計の仕事を始めて、『同じ建築なのに、今までと全然違う…』『立場が変わると、見方や感じ方、するべきことが違うんだなぁ』と思う機会がたくさんありました。

自分ちをつくった時、毎日のように現場に行って、進捗状況を見ていて、断熱材が入る前と入った後で、あったかさが全然違うことに気づきました。外からの音の聞こえ方も違うし、『断熱材ってすごいなー!』と実感しました。
この時は、ちょうど大雪が降って寒かったせいもあるかもしれませんが…笑
ちなみに、別のおうちで、夏に施工していた時は、断熱材施工後は、暑さがやわらいだ気がしました。
夏は外からの暑さを軽減して、冬はおうちの中のあったかさを逃がさないようにするのが断熱材です。

施工者側でいた時も、断熱材の施工はいろいろな現場で何度も見てきましたが、『断熱材の効果』についてはあんまり深く考えたことなかった…。
設計者は、『こういう効果があるから、ここにはこの材料をこういうふうに使用する』ということを分かった上で、仕様を決めているだなーってことがわかりました。

設計図に書いてある仕様は、効果やデザイン、価格などを総合的に検討して、設計者が選んだものです。決めるまでには、いろいろなことを考えています。
見た目がかっこいいものや、性能がいいものは、価格も高くなります。施主が、どの程度までを求めているのか、施主の暮らしに合うものはどれなのかを考えた設計を心がけています。